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ただ広いだけでなく、建物も庭も趣向が凝らされており、
思わず、「ほう」とため息が出るものばかりです。
そこ、ここに、来客をもてなす気持ちがあふれています。
では、旧野﨑家住宅の素敵なところをご紹介しますね。
上の写真は、入り口の長屋門です。
個人の住宅とは思えないほどの立派な門です。
これとは別に、藩主池田公などの要人を迎えるための御成門があります。
御成門の正面に表書院があり、来客用の座敷になっています。
庭先は歩きやすいように平らな石が埋めてあるのですが、
その中の一つが、ほかの5倍ぐらいあるような巨大な石でした。
これは、「お駕籠石」と呼ばれるもので、
お客さんが駕籠からおりるのに使われていたそうです。
写真は、表書院上の間から下の間に向けて撮影したものです。
下の間がはるか遠くに見えます。
見学に行ったのが夏だったので、ふすまも夏用の涼しげなものになっていました。
上の間からは、美しい庭園が見えます。
写真は一部だけですが、この庭園はもっと広いです。
奥のほうで木々に見え隠れしているのが、1つ目の茶室です。
この写真の右側の奥のほうに2つ目の茶室があり、
更に、そこから右手の奥のほうに3つ目の茶室があります。
表書院の脇には、めずらしい水琴窟があります。
竹筒から流れる水が地面にこぼれると、
地中に埋めてある壺に反響して、カランコロンといい音がします。
ぜひ聞いてみてくださいね。
奥に進んでいくと、石の鳥居が見えてきます。
自分の家の庭に立派な祠があるのです。
武左衛門さんは、毎日ここで家業繁栄を祈願されていたことでしょう。
さらに奥に行くと、また別の座敷が出てきます。
中座敷です。
ここは、一番奥まで見通せます。
写真ではよくわかりませんが、一番奥の床の間に掛け軸がかかっているのが見えます。
ふすまを外せば、巨大な宴会場ができます。
いったい何畳あるのでしょう。
大富豪の家は違いますね。
3つ目の茶室は、この中座敷のすぐ横に有ります。
3畳ほどのしゃれた建物です。
裏手に回ると、台所があります。
台所と言っても、43坪もあります。
台所だけで、我が家の敷地と同じぐらいあります(笑)
床は衛生面を考えて石畳になっています。
見えないところにもお金をかけるんですねえ。
中には、お客様用の高価な食器や、使用人の食事用の箱膳、
そして、発明されたばかりであろう家電類が展示されてます。
「珍しいものは野﨑家にもっていけば何でも買ってくれる」と、
商人たちは思ったようで、
当時としては珍しいあらゆる家電がありました。
岡山に電気が普及するのは、ずっと後ですが、
野﨑家は自家発電で、明治24年には電灯がともっていたようです。
台所には、変わった形の電気ストーブや、自動洗米機、トースター、
万能七輪(電熱器)、ワッフル焼き器やパンを焼く釜などもあります。
今では、普通にあるものですが、
当時の人たちは、さぞやびっくりしたことでしょう。
このほか、みそを作るためだけの小屋、
漬物樽がたくさん並んだ漬物専用の小屋もありました。
これだけの大きな建物ですから、使用人も相当数いたと思われます。
いったい何人分のご飯を作っていたんだろうと思います。
野﨑家には立派な倉が4つもあります。
今は、1つの倉はギャラリーにして、貴重な陶芸品などを展示しています。
別の倉は、江戸時代からの塩づくりの貴重な資料や道具を展示しています。
旧野﨑家住宅のホームページには、
実際に歩いているように見学できる3Dマップがあります。
見学に行っても入れない座敷の中まで見られるようになっている優れものです。
音声ガイドもyoutubeで聞けるようになっています。
これから行かれる人も、一度行った人も、とても楽しめますよ。
旧野﨑家住宅のホームページはこちら
館内3Dマップをご覧ください。
いろいろと資料を読んでいると、
野﨑武左衛門さんも、とんとん拍子に大富豪になったわけではなさそうです。
もともと、あちこちの大庄屋と縁組するような家柄の家に生まれましたが、
武左衛門さんの時代には、家は衰えていたようです。
武左衛門さんは、妻と母の縫った足袋を、父とともに行商で売っていたそうです。
足袋の行商は成功し、数年で使用人をやとうまでになりましたが、
売掛金が回収できず、またまた大ピンチに陥ります。
そこで、親戚や藩からお金を融資してもらい、
塩田事業に乗り出したのでした。
製塩業や新田開発で財産を築いた後は、
捨て子を育てたり、貧困者を救済するといった社会貢献にも熱心に取り組みました。
やはり、苦労された人は優しいですね。
「武左衛門さんの製塩業は、今はナイカイ塩業株式会社になって、引き継がれています。
食卓に上る塩や、医療用の塩として使われています。
ナイカイ塩業の名は、あまり聞かれないかもしれませんが、
味の素が販売している「アジシオ」「瀬戸のほんじお」といえば、
「あー、知ってる」と言われる方も多いのではないでしょうか。
ナイカイ塩業の塩は、これらの製品の原料になっています。
武左衛門さんの手がけた瀬戸内海のおいしい塩を、使ってみてくださいね。
野﨑家旧宅