先日、大人気のうちに惜しまれながら終了した「カムカムエブリバデイ」。
ヒロイン安子の実家の和菓子屋「たちばな」のモデルはどこのお店でしょう?
「おいしゅうなれ、おいしゅうなれ」とおまじないをかけた、
あまいあんこのおはぎを食べてみたい!
そう思って、調べてみたら、
「カムカムエブリバデイ」は、脚本家の人が作った架空のお話で、
「たちばな」も「雉真繊維」も安子も勇も、モデルは無いのだそうです。
残念!
でも…脚本家さんが安子の実家を「岡山の和菓子屋」にしたのは、理由があると思うのです。
ここがモデルという1軒ではないかもしれませんが、
伝統の製法を大事にして、お客さんの笑顔を思い浮かべてお菓子を作っている
素敵な和菓子屋さんが岡山にあったから、
安子の実家の「たちばな」を思いついたのではないでしょうか。
ということで、カムカムに登場した表町周辺の老舗の和菓子屋さんをご紹介します。
表町(おもてちょう)は、最終回でひなたと安子が走っていた商店街です。(笑)
芭蕉庵(ばしょうあん)
表町商店街にある芭蕉庵は、店構えは新しくなっていますが、
看板に歴史の重みを感じる創業100余年の老舗です。
お店ができたのは明治42年(1909年)。
初代店主は俳句好きの人で、四季の移り変わりの美しさを表現する文学の
詩情あふれる世界に感銘を受けました。
和菓子作りでも四季の美しさを表現し、日本の心を伝えたいと思って
お店を始めたのだそうです。
初代店主が考案した銘菓「旭川」は、三色の落雁のお菓子で、
「旭川に日が昇り、川面に立ち込める朝露をかき消していくさま」(ホームページより引用)
を表現しています。
大正15年に皇太子(のちの昭和天皇)が岡山に来られた時、献上したお菓子です。
芭蕉庵のホームページはこちら
芭蕉庵 住所 岡山県岡山市北区表町一丁目9-62
電話 086-222-5516
栄太楼菓子舗(えいたろうかしほ)
こちらのお店も店舗は新しくなっていますが、
伝統の看板はお店の正面に大切に掲げられています。
大正5年創業ですから、カムカムの時代とかぶりますね。
このお店がひたすら伝統を守ってきたお菓子は、「きんつば」です。
「きんつばなら栄太郎」といわれるほど有名で、今もすべてを手作りしています。
おはぎとはちがいますが、きんつばも小豆がメインのお菓子です。
もしかしたらと、「おいしゅうなれ」のおまじないを思い浮かべてしまいます。
栄太郎菓子舗のウエブページ
栄太楼菓子舗 住所 岡山県岡山市北区表町一丁目10-27
電話 086-222-2597
菓子司 翁軒(おきなけん)
翁軒は今も昔ながらの店舗で営業している老舗の和菓子屋さんです。
創業は明治22年で、こちらも100年以上営業しているお店です。
季節の生菓子ももちろんおいしいですが、
翁軒といえば、おいしい調布(ちょうふ)が有名です。
調布は、求肥をきめの細かいカステラのような生地で巻いたお菓子です。
もともとは、江戸末期、倉敷の菓子職人:間野与平が考案したもので、
京都御所付近に店を構え、調布は都人にも人気だったのですが、
禁門の変で焼け出されて店を失ってしまいました。
その後、与平は岡山に帰り、漆器を扱う「金華堂」という店を開きます。
のちに、「金華堂」は調布の製法とともに、「翁軒」に譲られたのでした。
翁軒はこの伝統の味を守り続け、今も手作りで調布を作っています。
翁軒の調布も昭和20年に昭和天皇に献上されています。
翁軒のウエブページはこちら
翁軒 住所 岡山県岡山市北区表町三丁目6番37号
電話 086-222-5462
大手饅頭 伊部屋(おおてまんじゅう いんべや)
岡山であんこのお饅頭といえば、一番に思いつくのが大手饅頭です。
こしあんを、甘酒と小麦粉を合わせてつくった薄皮でつつんだお饅頭です。
大手饅頭 伊部屋 は、天保8年(1837年)に現在の本店のある場所(京橋町)で
創業しました。
ここは表町からほんの少し離れた(歩いて行けるぐらい)ところです。
藩主池田公に愛され、茶会には必ず大手饅頭が用いられました。
「大手饅頭」の名前も、お店が岡山城の大手門の近くに店があったことから、
藩侯からいただきました。
大手饅頭は、お土産や贈答品としても人気で、京橋本店のほか、雄町工場もあり、
倉敷美観地区の近くに大手まんじゅうカフェもできています。
デパートやお土産売り場にも岡山銘菓として並んでいます。
大手饅頭 伊部屋のホームページ
大手饅頭 伊部屋 京橋本店住所 岡山市北区京橋町8-2
電話 086-225-3836
雄町工場住所 岡山市中区雄町201-1
電話 086-279-3688
大手まんじゅうカフェ住所 倉敷市中央1-4-18
電話 086-421-3700
岡山のおいしい和菓子のお店、まだまだご紹介したいお店がたくさんありますが、
またの機会にご紹介したいと思います。
きっと、どのお店の職人さんも、食べる人の笑顔を思い浮かべて、
おいしいお菓子を作られていることでしょう。